デザインコンペなんてやめよう。
前回はデザインコンペに参加するデザイナーの動機について書いた。
今回はコンペを企画する側についての話。
書いてみるとすごく当たり前の事で、マヌケな説明をしてるなぁと思うのだけど。
ざっくり言えば、デザインコンペなんて意味がないからやめよう、というのが今回の話。
ネット界隈でデザインコンペといえば、少し前にランサーズで行われたコンペの記事が話題になっていた。
20万円かけてランサーズでロゴマークを募集してみてわかったこと - クートンブログ
僕ははっきり言ってランサーズをあまり良く思っていない。
デザインを受注する側としては当然のこと、発注側にとっても大いに問題がある仕組みだと考えている。
それが上の記事にはよく現れている。
コンペを実施するクライアントの多くが、根本的な誤解をしているように思われる。
「コンペ」というと、徒競争のように競って一番能力の高い人が優勝するものだと考えがちだ。
しかし、デザインコンペに限っていえばその捉え方は誤りの元だ。
デザインを検討する上で重要なのは的に当てることであり、どれだけ中心近くに当てられるが問題なのである。
デザイナーのスキルがどれだけ高くても、闇雲にアイディアを出しては非常に効率が悪い。
的に当てるには、このアイディアは近いのか、遠いのか、その都度フィードバックすることが最大の近道である。
つまり、ある程度のスキルをもったデザイナーを一人据えてしっかりコミュニケーションをとりながら進めれば、ちゃんと満足のいく水準のものが出来上がるのだ。
うまく行けば一案で完了することだって不可能ではない。
上記の記事でいえば、20万円で380案集まっても採用するのは一案だけなのだから、全体としては379案分の時間と労力が無駄になっている。
費用もたぶん20万も出さなくて良かったんじゃないか。
デザインコンペの問題は、この「コミュニケーション」を疎かにしがちな点にある。
その結果、発注側にも受注側にも膨大な無駄が発生するのだ。
ランサーズにおいては最初から「コミュニケーション」がとりづらいシステムなのだから、全然駄目なのである。
ちなみに。
前回言及したのはミッドタウンだとかコクヨだとか、学生も参加OKなJDNの登竜門に掲載されているような有名な一般公募のコンペのこと。
これらは受賞作品を実際に商品化するものもあるが、それだけではなくコンペ自体がイベント的位置づけであったり、企業イメージの向上も視野に入れて行われると思うので、企画する側にも意義があるのだろう。
また、建築業界におけるコンペなど、予算や色々な要素が含まれる場合は純粋なデザインコンペとは区別しなければいけないと思う。