pipipipikopiko’s blog

名古屋のプロダクトデザイナーのブログ。

デザインコンペにまつわるジレンマ

 先日、某デザインコンペの入賞者に某知人の名前があった。

その人は僕が今まで見てきたデザイナーの中でも5本の指に入るほど「デキる」人だと認識している。

学生の頃からコンペ入賞多数という非常に輝かしい経歴である。

(しばらくは見かけなかったが、また最近コンペに参戦するようになったのは何か理由があるのだろうか・・・。)

 

コンペに参加する動機

みなさんがコンペに参加する理由は主に、賞金目的、腕試し、売名目的のいずれかだと思う。

とくに個人でやっているデザイナーは売名と生活費が直結しているところがあって、必死に参加していたりするんじゃないだろうか。

僕もプロになってから数回コンペに応募したことはある。理由は売名というよりは、マンネリな現状に我慢ならず何か行動せねば!と思ったからである。

その時以外にも出そうと思ったことは何度もあるが、結局最後まで作り上げるモチベーションが維持できなかった。

最初はヒマな時間にアイディアを考えたりするのだが、出ないな〜、出ないな〜、といいながらいつの間にかフェードアウト・・・。

普段の仕事では決してそんなことはないのだが、いったい何が違うのだろうか。

 

 いつものデザインとコンペのデザインの違い

まず、

①コンペである以上、合格ラインではなく、1番を目標にしなければならない

普段の仕事はクライアントに課された条件があり、それをクリアーしていればOK、クライアントも満足、という構図だ。

それに対して公開コンペでは合格ラインを超えた良案が他にもたくさん出てくるわけで、

その中でもひと際キラリと光る案を出さなくては勝てない。

 

そして、

②やってもやらなくても自由

仕事では責任がともなうので怒られないように必死でやるが、コンペは完全に自分との闘いである。

 

最後に

③換金率が非常に低く徒労に終わる可能性大

単純に確率で言えば、コンペに参加しても99%くらいで賞金ゼロである。

もし佳作程度を受賞しても5万円とか10万円とか・・・

賞金目的でなくとも普段の仕事量と比べてまったく割に合わないと思うと、なんだか馬鹿らしくなる。

 

”コンペに勝つ”≠”腕のあるデザイナー”

①で言った”キラリと光る案”というのがクセモノである。

本来ならある程度の水準に達したデザイン案に順位をつけるのはとても難しい。ナンセンスだと言ってもいい。

それなのにどうやって順位をつけるのか?

受賞できなかった作品が本当に受賞作品より劣っていたとは限らないし、

そもそも審査員の見方自体が偏っていたりする可能性もある・・・。

一説にはコンペで勝つにはテクニックがあるのだそうだ。

例えば審査員のコメントや過去の作品をじっくり調査して、審査員が好みそうな作品を出すとか、本当かどうかはわからないけれど・・・。

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そんなことを考えると、実力があろうが無かろうが関係ないじゃないか、あ〜アホくさ、となってしまうのである。

 

しかし、一方でコンペで連戦連勝している人を見ると

スゲ〜!と思うと同時にクヤシ〜!と思ってしまう。

手っ取り早い売名としてコンペはやはり強力だし、Gマークなんか獲るよりよっぽど箔がつく。

納得できないことはあれど、それには目を瞑ってバンバン挑戦したもの勝ちである。

わっかっちゃいるが・・・でも・・・なかなか・・・。